エミール・ブレイエの本

 『思想』(5月号、岩波書店)に江川隆男氏の論文「分裂的総合について:ドゥルーズ=ガタリ論」が掲載されております。江川氏には『存在と差異:ドゥルーズの超越論的経験論』(知泉書館、2003年)、『死の哲学』(河出書房新社、2005年)といった著作があります。
 江川氏は昨年、エミール・ブレイエ著『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』(月曜社)を訳し、きわめて充実したその解説「出来事と自然哲学:非歴史性のストア主義について」も書いています。この本は、個人的には、昨年読んだ本のなかで羨望に近いくらいの感銘をうけた本のひとつです。

 「ドゥルーズを触発した碩学ブレイエの高名な論考(1908年)の本邦初訳。数理物理学の衝撃のもとにある近代以降の唯物論とはまったく異なる初期ストア哲学の生物学的唯物論が提示する、存在と出来事を包括する自然哲学が〈非物体論〉として考察される。難解な論考の現代的意義を活きいきと開く訳者の長編解題を付す。」(オビの文章より)

「近代の唯物論は、一般に数理物理学の衝撃のもとにあり、それ自身が数学的である。それは、存在者を計算可能な大きさ〔数量〕に還元し、したがって空間と時間は、それらが諸々の存在者を測るのに役立つ以上、そうした存在者の本質的特徴である。ストア派の人々の一種の生物学的唯物論は、こうした現代の唯物論の思想から可能な限り遠いところにある。物体は、自らの規定性を、その〔数理学的な〕諸次元においてではなく、当の物体を限定する力と固有の性質のうちに見出すのである。」(本書101頁より)

「現代には〈自然哲学〉がない。ここで私が言う〈自然哲学〉とは、その後に形而上学を準備するような自然学でもなければ、物理学や数学といった学知とどこまでも共可能的な世界観を提起する自然哲学でもなく、その限りで反形而上学的で、反物理学的・反数学的な自然思想のことである。換言すれば、いかなる意味においても物体と相互作用しない――したがって、受動も能動もしないもの、非物体的なものである――にもかかわらず、その形相が自然のうちにしか存しないような、物体の表面的効果(つまり、身体の絶対的効果)、これを〈存在〉とは別の仕方で考察する思想、それがここで言うわれわれの〈自然哲学〉である。[中略]/ここで私が主張する〈自然哲学〉は、一つには自然のなかの動詞を探究する学であり、それゆえ〈物体=自然〉(ソーマ)とは〈動詞体〉(ロゴス)のことである。これは、草花や山河を、あるいは刻々変化する気象現象や天界の惑星の運行を単なる自然物や自然現象だと考えて、それらの存在とその認識の知覚を貶め、ことによって、逆にそれらの背後にあると想定された数々の法則や自然それ自体の実体的存在を認識することにより高い価値を措定しようとする思考などとは、まったく異なったものである。初期ストア派の人々にとっては、自然のうちには動詞的表現によって〈表現されるもの〉しか存在せず、したがって名詞は非妥当な概念しか表示しないことになる。言い換えると、草花や山河、自然現象や惑星の運動、これらの物体が刻々生産している非物体的なものについての考察がまさにストア派の弁証論だということである。[中略]/大いなる人為の叙事詩ではなく、自然の力の叙事詩を語ること、それが同時に〈平和の叙事詩〉となるような瞬間があるのかもしれない。」(解題より抜粋)

マイク・デイヴィスの著作

『図書新聞』(5月5日号)に杉浦勉氏がマイク・デイヴィス(*)のラティーノ論について記事をよせています。デイヴィスの新刊(共著)No One is Illegal〔不法な人間などいない〕について、2001年に刊行されたMagical Urbanism〔魔術的アーバニズム〕とともに、紹介と批評がなされています。No One is Illegalは「昨年の〈新移民法〉に反対する全米抗議運動で最も使用されていたスローガン」でもあります。「デイヴィスのラティーノ論はたんに階級や人種/エスニシティのモデル研究としてだけではなく、社会やコミュニティがひとつの集団をどのように理解し、勤労や居住を通じて提携してゆくことができるのかを考える実践的なリサーチとしても学ぶべきところは多い」(記事より抜粋)。Magical Urbanismは明石書店より刊行予定とのことです。

 * デイヴィスの著作は単行本としては『要塞都市LA』(青土社)、『感染爆発:鳥インフルエンザの脅威』(紀伊國屋書店)が翻訳されております。

 デイヴィスのPlanet of Slums〔スラムの惑星〕(2006年刊)も明石書店より刊行されるとのことです。同書のもとになった論文は、雑誌『現代思想』(2006年8月号、特集:ホームレス)に「スラムの惑星:都市への内訌と非正規なプロレタリアート」(長原豊訳)という表題で掲載されています。ひじょうに興味深い論考です。

『抵抗の場へ』第2刷、完成しました。

 マサオ・ミヨシ × 吉本光宏著『抵抗の場へ』の重版(第2刷)が完成いたしました。
3日間、在庫を切らし申しわけございませんでした。

あれこれ…

 金井美恵子(文)・金井久美子(オブジェ)『楽しみと日々』(平凡社、2007年4月25日発行、本体1,900円)
――オビの文章は、

オブジェとエッセイによる、映画へのオマージュ。ドライヤー、ワイズマン、ルノワール、ロメール、イーストウッドから、小津安二郎、成瀬巳喜男、山田五十鈴、韓国映画まで。さまざまな、いとおしい細部が煌めく、アッと驚きのエレガントな「映画の箱」がひろげられる


 金井美恵子氏は朝日新聞社のPR誌『一冊の本』のなかで「目白雑録3」(1~2は朝日新聞社から単行本でそれぞれ刊行されています)を連載。
 ところで、『一冊の本』の表紙のデザインは、ここ何年か原研哉氏が担当。原研哉氏といえば、『idea アイデア・アーカイブ:原研哉のデザイン』(2007年4月1日発行、誠文堂新光社、本体1,800円)が刊行されたばかり(ただし同書は2004年の同誌掲載記事を復刻・書籍化したもの)。
 『idea アイデア』の最新号(5月1日発行号、本体2,829円)の特集記事は「オルト・アイヒャー:デザインとしての世界」、そして「海外雑誌カルチャー」のふたつ。ぱらぱらと読んでいくと『日本語活字見本集成 OpenType版』(同社、本体4,200円)の広告が掲載されていたので、再度書店に行き購入。事務所に戻ると、フォント・ワークス社からメール。豊隷 Std EB、あられ Std DB、ロダンNTLG Pro L、このOpenTypeフォント3書体に不具合があるとのこと。対処方法は簡単であった。

勁版会のご案内

勁版会(第282回)の例会
■テーマ:取次の物流現場を間近に見て感じること
■と き:2007年4月27日(金)午後7時~9時
■ところ:《COCON KARASUMA》4F:シティラボ・プレゼンルーム(エレベータで4Fまで直接上った正面の部屋)http://www.coconkarasuma.com
 京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620
 電話075-352-3800
 *地下鉄烏丸線「四条」2番出口/阪急京都線「烏丸」23・25番出口~
■参加費:無料
 *終了後、懇親二次会を予定 参加費3,000円程度
■ゲスト:加藤康夫(創元社常務取締役・営業部長/新元社取締役社長)
【ゲスト略歴】かとう・やすお
 1948年1月23日生まれ、59歳。大阪府高槻市出身。
 1970年創元社入社。
 同社常務取締役と㈲新元社取締役社長を兼任。
 より詳細については当日の質問で……。

勁版会(ケイハンカイ)とは
 京阪神の出版社・書店など、出版業界関係の現場担当者の研修・懇親会。
 会員外の参加・出入りもフリーな、気軽な集まり◆オブザーバー参加歓迎。
 月例会は、原則として毎月・第3金曜日◆年会費・1,200円=月報通信費
 *発足後20余年の勁版会の経過は「勁版会活動年表」や「勁版会小史」
 いずれも川口正著『本と人を糧に』(編集工房ノア、2002年)にて詳述。

TAKEO PAPER SHOW 2007

TAKEO PAPER SHOW 2007 "FINE PAPERS"(主催=株式会社竹尾 大阪支店)が大阪で行なわれます。
会期=2007年5月16日(水曜)・17日(木曜)
開場時間=10時~20時(17日は18時まで)
会場=マイドームおおさか・3F展示場E
詳細は株式会社竹尾のサイトをご確認ください。
http://www.takeo.co.jp/web/event/papershow/2007.html

『抵抗の場へ』:『朝日新聞』に書評掲載

 『朝日新聞』(4月15日付・朝刊・読書面)に、『抵抗の場へ』の書評が掲載されました。
 評者は、柄谷行人氏です。

通俗的な観点からいっても、これほど面白い波瀾万丈の経歴をもった日本人はめったにいない。本書には、少なくとも、その一端が示されている。インタビューという形式であるため、著書には決して書かれないような、さまざまな経験がヴィヴィッドに語られているからだ。(書評より抜粋)

「社会的なもの」をめぐって…

 市野川容孝著『社会』(岩波書店、シリーズ思考のフロンティア、2006年)は、すでに昨年から話題になっていることもあって、ご存じの方も多いと思います。ひじょうに優れた書物だと思います。

生-権力への抵抗は、その権力が生み出す「生」そのものから生み出されうる。同様に、社会的なものに対する批判は、社会的なものの只中から引き出すべきなのである。(同書、233頁より抜粋)


 また、田中拓道著『貧困と共和国――社会的連帯の誕生』(人文書院、2006年)も、「社会的なもの」や「福祉国家」「連帯の思想」の系譜をたどった、すぐれた著作です。

 小社にかぎった話としては、2年ほど前、ジャック・ドンズロ Jacques Donzelot, L'Invention du Social, Essai sur le declin des passions politiques, Fayard, 1984 (Seuil, 1994) の翻訳出版を企画したことがあったのですが、翻訳してくださる方を期限内に見つけることができず、実現できませんでした。いまは別の出版社が翻訳出版を計画していると聞きます。刊行されるのが待ち遠しいです。「社会的なもの」をめぐっては、小社ではあきらめずに、しつこく企画を考えていきたいと思っております。

ジャン=リュック・ナンシーのあたらしい本

 ジャン=リュック・ナンシーの、Tombe de sommeil, Editions Galilee, 2007. という本が刊行されたようです。
 ナンシーの、イメージをめぐっての思考や、キリスト教の脱構築の試みは、本をつくるという具体的な行為に、おおきく関係していて(すくなくともわたしにはそう思えて)、さまざまな課題、考えたほうがよい問題に、そのつど気づかされます。

「書肆 砂の書」のご紹介

 「書肆 砂の書」は、京都にある古書店です(→http://www.sablelivre.com/index.html)。そのサイトでもお分かりのように、ひじょうに特徴のある本をそろえておられます。小社の本も置いていただいております(★「新品」を定価どおりで置いていただいております)。
 ――「基本的には通販専門ですが、土・日・月に限り、狭い事務所ではございますが、本をご覧いただいたり、CDを試聴していただく事も可能です」――とのことです。事前にメールをされてから訪ねられたほうがよいでしょう。事務所は、堀川五条近くのビルのなかにあります。地下鉄五条駅が最寄りの駅になるかと思います。

「尊厳死」言説をめぐって…

 「尊厳死」をめぐっての言説の変遷については、大谷いづみさんの優れた研究が、いくつも発表されています(→http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/g/oi01.htm)。雑誌『現代思想』(青土社)や書籍『生命の臨界――争点としての生命』(松原洋子・小泉義之編、人文書院、2005)などでも読むことができます。研究をまとめた本を東京の出版社から刊行される予定と聞きます。こんにちの危うい状況下において、ひじょうに重要な本となることは間違いないと思います。

石橋 純『太鼓歌に耳をかせ』(松籟社)のご紹介

 石橋 純『太鼓歌に耳をかせ――カリブの港町の「黒人」文化運動とベネズエラ民主政治』(2006年、松籟社)は、昨年3月まで勤めていた会社でつくりました本です。あらためてここに、しつこく(!)宣伝いたします。現在は「初版第3刷」めかと思います(違っていたら、すみません)。写真をたくさん掲載しております。ぜひ書店でご覧くださいませ。

「ホームレス地域生活移行支援事業」などなど

 東京都が実施している「ホームレス地域生活移行支援事業」、フランスでの「居住権」法案などについて、いま、資料を集めています。東京都の場合、自立支援事業や生活保護法にもとづく保護との関係が、当方の勉強不足から、いまだよく分からず(これらの保護の対象者は地域生活移行支援事業の保護の対象とはならないということなのか)、また、期間限定の「居住権(?)」のようで、「野宿者は、テントなんて目立つところではなく、〈われわれ〉の視界に入らないところへ行ってくれ」という事業なのでしょうか…? フランスの状況についての資料も、まだ集められていません。
 これらとはまったく別に、Anders Corr, No Trespassing, South End Press, 1999などの、アメリカのスクワッティングについての本をいくつか購入(しかし未読)……。

『美味い珈琲はどこにある?』(仮題)

 『美味い珈琲はどこにある?』(仮題)という、書き下ろしの本(単著)を、小社において企画しております。戦後から現在にいたる喫茶店文化の変遷、グローバルな豆市場、スターバックスをはじめとするコーヒー・チェーン店の展開、業界の動向、味覚の変化……「珈琲」からみた、こんにちの日本の社会-文化論となるかと思います。
 この企画とは関係ないですが、季刊『at』(第6号、2006年12月刊、太田出版)に掲載されている、野田公夫著「世界農業類型と日本農業――小農社会における農業・農村主体性」からは、農業経済の歴史的な過程をふくめ、さまざまなことを学ぶことができました。

Actes Sudの本からたどりつくも…

 フランスの出版社Actes Sudは、装幀も美しい、特徴ある書籍をつぎつぎと刊行しています(→http://www.actes-sud.fr/)。
 そのサイトをながめていて翻訳(仏訳)されているのに気づき、ドイツの出版社に注文した本が、Jorg Blech, Die Krankheitserfinder, Wie wir zu Patienten gemacht werden, Fischer Verlag, 2003. および、Jorg Blech, Heillose Medizin, Fragwurdige Therapien und wie Sie sich davor schutzen konnen, Fischer, 2005.の2冊です。Actes Sudから出ているものは、このフランス語訳です。Jorg Blechは、医療や薬などにかんしてルポを発表しているジャーナリストのようです。しかし、購入したもののまだ未読……。

ブックファースト、10月に京都・四条河原町に出店

阪急電鉄が地上9階・地下1階の10階層でオープンする「河原町駅前阪急ビル(仮称)」のキーテナントとして3~6階に計約430坪で入居。05年に閉店した京都店より約100坪拡大しての再出店となる。帳合取次会社は未定。[以上「新文化」のサイトより引用]

近刊のご案内:『あなたの妊娠と出生前検査の経験についておしえてください』(仮題)

『あなたの妊娠と出生前検査の経験についておしえてください』(仮題)書き下ろし

柘植あづみ+菅野摂子+石黒眞里(共著)
四六判、予価2,000円~2,800円、2007年刊行予定

 本書は、妊娠と出生前検査についての女性たちの肉声を、活字をとおして伝えるものです。375人の女性にアンケート調査を、26名の女性にインタビュー調査を行ない、その結果を整理して分析した資料にもとづいております。
 一読すれば、妊娠をめぐる女性たちの喜びや悩み、不安、そして検査をめぐる女性たちの意識、身体感覚、社会-文化観、検査そのものの問題点などが、浮かびあがってくるかと思います。胎児に障害があることが分かり産まなかった女性、産んだ女性、妊娠中に考えが変わった女性、悩んだ末に検査を受けなかった女性、検査がどういうものか知らなかった女性、妊娠の経験についての意識・感覚の変化、夫や周囲のひとたちの反応、医師による説明と対応、病院の設備、職場の環境……。

 本書には、それぞれ異なる、たった一つの複数の声が刻み込まれています。検査を体験した女性、これから産もうとする女性、医師や看護士はもちろん、むしろ男のひとたちに、本書を読んでほしいと強く願っております。(洛北出版・編集・竹中尚史より)

『排除型社会』:『STUDIO VOICE』5月号に書評掲載

 雑誌『STUDIO VOICE』5月号に『排除型社会』の書評が掲載されました。評者は北小路隆志氏です。スコット・A・サンデージ著『「負け組」のアメリカ史』(鈴木淑美訳、青土社)とともに書評されております。

 ちなみに『STUDIO VOICE』5月号の特集は「POP NEVER DIE ! 没後20年、ウォーホールの子供たち」です。さまざまな国籍の表現者たちにインタビューをしています。

「哲学の歴史」全12巻・別巻1(中央公論新社)

 「哲学の歴史」全12巻・別巻1(中央公論新社)の刊行が4月より始まるそうです。詳細はいずれ中央公論新社のサイトで公開されることでしょう。個人的には、内容はもちろん、装幀や本文設計を誰がなさっているのかにも興味があります。[以下、『週刊 読書人』4月13日号より抜粋]

 本シリーズの特徴としては、第一に、代表的な哲学者の生涯と思想体系について、たんなる概要ではなく、それだけで十分に理解されうる記述量を与えたこと。第二に、個々の哲学者についての、日本における現在の研究水準を示す内容であること。第三に、それぞれの章が、現代の哲学的関心を念頭に置き、現代人の問題意識、興味、疑問に応えるように執筆されていること、などがある。



第1巻 「哲学誕生:始まりとしてのギリシア」(古代1)内山勝利 編
第2巻 「帝国と賢者:地中海世界の叡智」(古代2)内山勝利 編
第3巻 「神との対話:信仰と知の調和」(中世)中川純男 編
第4巻 「ルネサンス:世界と人間の再発見」(15-16世紀)伊藤博明 編
第5巻 「デカルト革命:神・人間・自然」(17世紀)小林道夫 編
第6巻 「知識・経験・啓蒙:人間科学の創出」(18世紀)松永澄夫 編
第7巻 「ドイツ観念論:カントからヘーゲルへ」(18-19世紀)加藤尚武 編
第8巻 「社会の哲学:進歩・進化・プラグマティズム」(18-20世紀)伊藤邦武 編
第9巻 「反哲学と世紀末:マルクス・ニーチェ・フロイト」(19-20世紀)須藤訓任 編
第10巻 「危機の時代の哲学:現象学と解釈学」(20世紀1)野家啓一 編
第11巻 「論理・数学・言語:科学の世紀と哲学」(20世紀2)飯田隆 編
第12巻 「実存・構造・他者:モダンとポストモダン」(20世紀3)鷲田清一 編
別 巻 「哲学史年表」大橋容一郎 編集協力

発行・発売:中央公論新社
新書判変形サイズ
各巻700頁前後
予価2,800~3,600円(税別)
第1回配本は第11巻(4月10日発売)

『排除型社会』:『週刊 読書人』に書評掲載

 『週刊 読書人』(2007年4月13日号)に『排除型社会』の書評が掲載されました。評者は樋口明彦氏(法政大学教員・社会学)です。

「包摂型社会から排除型社会へ――自己と他者を截然と分かつ視線」
 本書は、犯罪というテーマをめぐって、社会学が蓄積してきた逸脱論の枠組みを越え、排除という広い視覚から分析した現代社会論となっている。(抜粋)


 この書評も本書の内容を丁寧に紹介してくださっています。また、書評の最後にあらたな知見(問題提起)を書かれており、これも非常に参考になります。ぜひご覧くださいませ。

山下敦弘 ― ポン・ジュノ ― ジェイムズ・エルロイ

 山下敦弘監督《松ヶ根乱射事件》を観ました。山下敦弘氏は、《どんてん生活》(2001)、《ばかのハコ船》(2003)、《リアリズムの宿》(2004)、《リンダリンダリンダ》(2005)といった映画をつくっています。
 《松ヶ根乱射事件》の冒頭はコーエン兄弟の《ファーゴ》を喚起させ、さらに主役は大森立嗣監督《ゲルマニウムの夜》の新井浩文……どんなエグイ結末になるか…?
 《松ヶ根乱射事件》のパンフレットに、ポン・ジュノが言葉をよせています。ポン・ジュノは《ほえる犬は噛まない》(2000)、《殺人の追憶》(2003)、《グエムル》(2006)で知られた映画監督です。ポン・ジュノの作品2本に出演しているペ・ドゥナは山下の《リンダリンダリンダ》にも出演しています。(ポン・ジュノの本、または作品をめぐっての本を、いつかつくってみたいと考えております。)
 《松ヶ根乱射事件》《グエムル》の両方のパンフレットに批評をよせているのは滝本誠氏。パンフレットで『渋く、薄汚れ』(フィルムアート社、2006)が刊行されていることに気づいて購入し、ジェイムズ・エルロイの小説『LAコンフィデンシャル』や『ホワイト・ジャズ』などでおなじみのギャング、ミッキー・コーエンが実在の人物だったことを今になって知りました(恥ずかしい!)。おなじくゴシップ誌「ハッシュ・ハッシュ」も実在するようです。アメリカの社会学者で『要塞都市LA』(青土社)などの著者マイク・デイヴィスの著作に出ていないかどうか(登場していないかもしれない)、調べてみます(調べないかもしれない)。
 最後にC・マッケイブ著(C.MacCabe)『ゴダール伝』がみすず書房より今月末に刊行されるようです(予価5,880円)。楽しみです。
 【追記】タワーレコードの@TOWER.JPでは、すでに購入可能のようです。定価5,250円とのこと。

『サークル村』復刻版(不二出版、2006年)

 『サークル村』は、九州全域と山口県の地域や職場のサークルどうしの交流をめざした雑誌であり、1958年9月から61年10月まで刊行されました。この雑誌には、谷川雁、上野英信、森崎和江、石牟礼道子といった表現者だけでなく、炭坑労働者や鉄道員、紡績女工、郵便局員、金属工、事務員、村の若者や女性たち、かれら、かの女らの、活字をとおした肉声が刻みこまれています。

 復刻版は、不二出版より昨年5月に復刻されています。すでにご存知の方も多いでしょう。『労働藝術』『地下戦線』『炭砿長屋』を附録としています。復刻版は全3巻、本体価格 65,000円(!)です。

 不二出版の復刻版パンフレットには、池田浩士氏、上野千鶴子氏、鶴見俊輔氏、有馬学氏が、推薦の言葉をよせております。関心のある方は不二出版にお問い合わせください。

 池田浩士氏は、『図書新聞』(2006年10月14日号)にて、『図書新聞』編集の米田綱路氏によるインタビューに答えています(リード文「集団創作のエネルギー:二十世紀文化運動のなかで新しい表現を生み出した〈村〉」)。

 そのほかには、天野正子著『「つきあい」の戦後史』(吉川弘文堂、2005年、本体2,800円)もあり、このなかでも「サークル村」についてページがさかれております。

 また、雑誌『思想』(2005年12月号、岩波書店)「特集:戦後60年」のなかでは、ウエズリー・ササキ・ウエムラ著「遺産を移植する――戦後日本のサークル運動の影響」、水溜真由美著「森崎和江と『サークル村』」の2つの論文が掲載されています。
 さらには、雑誌『未来』(未来社)では、昨年から今年3月号までの7回にわたって、道場親信著「倉庫の精神史――未来社在庫僅少本で読む〈戦後〉」と題する論考が掲載され、上野英信などをめぐってサークル村のことが取り上げられています。

 サークル村についてはわずかしか言及されていないものの、冨山一郎氏「接続せよ!研究機械:研究アクティヴィズムのために」(『インパクション』第153号、2006年、本体1,200円)のなかのつぎの言葉は印象的で触発をうけました。
「運動の形態を考えることは、終ったとされる過去の出来事にもう一度別の意味を吹き込み、まだ終っていない運動として今に繋げていくことなのだ」。
 こんにちのこの状況において、あらたな〈サークル〉をどう構想し、実験し、つなげていくかは、きわめて重要な課題だと思います。

『graphic/design』の紹介

 デザイン誌『graphic/design』(左右社)を創刊号から第3号まで購入しました。事務所の近くにある恵文社一乗寺店に面だしされていました。
 下記はその第3号の目次です。

『graphic/design』 第3号(2007/02/28発売)
目 次

特集=この人たちの20年前の仕事といま
寺門孝之――天使点画2 GALLERIA TERAKADO Dusty Twin-Line Angeli
池澤夏樹――託宣から帳簿へ 語り物からウィキペディアへ…2
ティム・マクレイト――デザインの日常英語…1 Line,Originality
斎藤環――テクスチャーの歴史的変遷
臼田捷治――グラフィックデザイン 20年前といま――デザイナーのビルドゥングス・ロマン(クラフト・エヴィング商會、佐藤雅彦、原研哉、山口信博、祖父江慎、鈴木一誌、戸田ツトム)
加島卓――「都市=銀座」としてのショーウィンドー デザイナーと素養…3
石川九楊――日本の漢字すべてが国字である 国字つれづれ…2
祖父江慎――坊っちやんの顔100年 並べてみよう…2
戸田ツトム――影の運動 デザインのカオス…2
三木健――「話すデザイン」
鈴木一誌――「自分の目盛りをつくる」

   ◆ ◆ ◆

 デザイン&アートの雑誌『81+』(ディー・ディー・ウェーブ発行 河出書房新社発売)の第35号(2月25日発行)でも、10年前といまをめぐって、さまざまなデザイナーにインタヴューをした記事が載っています(『graphic/design』第3号のほうはインタヴューではなく、また、「20年前といま」という比較です)。
 DTPが製作環境に広範囲に展開し、さらにインターネットの普及によって生活じたいも変化しました。「インターネットとデジタル化が仕事の中身をどれほど変化させたか」をさまざまな(言語も国籍も異なる)デザイナーに質問しています。

   ◆ ◆ ◆

 『d/sign』(太田出版)の13号の特集は「ロボットのデザイン」です。こちらも関心のある方はご覧ください。読み応えのある記事、批評を、かずおおく読むことができると思います。

 また、『重力のデザイン――本から写真へ』(鈴木一誌、青土社)はいま読んでいるのですが、あわせてご紹介しておきます。

『抵抗の場へ』完成しました

 マサオ・ミヨシ×吉本光宏 著『抵抗の場へ――あらゆる境界を越えるために マサオ・ミヨシ自らを語る』が完成いたしました。取次には今週出荷いたし、書店では来週中頃から並びはじめます。
 本書をなすインタヴューは英語で行なわれ、それを日本語に翻訳したあと、著者が日本語で全面的に加筆・修正をいたしました。そのため、日本語によって推敲された文体・表現をもっとも尊重しました。どの時点で編集作業をやめるか、つまり「つくりこまない」ことを課題につくりました。
 刊行が遅滞いたし申しわけございませんでした。来週中頃には書店に並ぶかと思います。

詳細はこちらから
http://www.rakuhoku-pub.jp/book/27057.html

トークセッション――闘争の最小回路

トークセッション
闘争の最小回路――運動・メディア・共同体

酒井隆史×廣瀬純

[司会]櫻田和也(remo)

ひとりひとりの内にある「政治」を可能にするパワー、行為と力のクリスタル=闘争の最小回路を刺激するメディアとは何か、そして、共同体と政治・運動の関係とは?
ラテンアメリカ社会運動の最前線から考える、
気鋭の論客による注目の初対談!

日時
2007年4月14日(土曜日)午後6時30分~(開場:午後6時)
入場無料、予約不要

場所
新今宮・フェスティバルゲート4階 remo
(最寄駅)JR環状線「新今宮」下車すぐ、
地下鉄御堂筋線・堺筋線「動物園前」5番出口直結、
南海本線・高野線「新今宮」徒歩5分、市バス「地下鉄動物園前」
(地図)http://www.remo.or.jp/j/contents/map.html

パネラー紹介
酒井隆史(さかい・たかし)/1965年生。大阪府立大学人間社会学部助教授。
著書に、『暴力の哲学』(河出書房新社、2004)、『自由論』(青土社、2001)。訳書に、サラ・ミルズ『ミシェル・フーコー』(青土社、2006)など。『vol』(以文社)編集委員。

廣瀬純(ひろせ・じゅん)/1971年生。龍谷大学経営学部専任講師。
著書に、『闘争の最小回路――南米の政治空間に学ぶ変革のレッスン』(人文書院、2006)、『美味しい料理の哲学』(河出書房新社、2005)。訳書にパオロ・ヴィルノ『マルチチュードの文法』(月曜社、2004)など。

主催
人文書院 〒612-8447京都市伏見区竹田西内畑町9 tel.075-603-1344

共催
remo[NPO法人 記録と表現とメディアのための組織] http://www.remo.or.jp/


【追記】ドゥルーズ『シネマ2*時間イメージ』の書評

 『図書新聞』(3月17日号)に、廣瀬純氏によるドゥルーズ『シネマ2*時間イメージ』の書評が掲載されています。じっくりと、なんども読みかえしました。力のはいったすぐれた書評だと思います。

『排除型社会』:『朝日新聞』に書評掲載

 『朝日新聞』(4月1日付・朝刊・読書面)に、『排除型社会』の書評が掲載されました。
 評者は、高橋伸彰氏(立命館大学)です。

 「消費者の欲望を刺激しながら労働者の報酬を削減する市場原理の浸透が、経済的な不安定に加え、生きていることに対する不安まで惹起することを8年前に見抜いていた原著の邦訳は、日本の格差や貧困をめぐる論争に新たな波紋を投じるはずだ。」
プロフィール

洛北出版

洛北出版
http://www.rakuhoku-pub.jp/

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