『サークル村』復刻版(不二出版、2006年)

 『サークル村』は、九州全域と山口県の地域や職場のサークルどうしの交流をめざした雑誌であり、1958年9月から61年10月まで刊行されました。この雑誌には、谷川雁、上野英信、森崎和江、石牟礼道子といった表現者だけでなく、炭坑労働者や鉄道員、紡績女工、郵便局員、金属工、事務員、村の若者や女性たち、かれら、かの女らの、活字をとおした肉声が刻みこまれています。

 復刻版は、不二出版より昨年5月に復刻されています。すでにご存知の方も多いでしょう。『労働藝術』『地下戦線』『炭砿長屋』を附録としています。復刻版は全3巻、本体価格 65,000円(!)です。

 不二出版の復刻版パンフレットには、池田浩士氏、上野千鶴子氏、鶴見俊輔氏、有馬学氏が、推薦の言葉をよせております。関心のある方は不二出版にお問い合わせください。

 池田浩士氏は、『図書新聞』(2006年10月14日号)にて、『図書新聞』編集の米田綱路氏によるインタビューに答えています(リード文「集団創作のエネルギー:二十世紀文化運動のなかで新しい表現を生み出した〈村〉」)。

 そのほかには、天野正子著『「つきあい」の戦後史』(吉川弘文堂、2005年、本体2,800円)もあり、このなかでも「サークル村」についてページがさかれております。

 また、雑誌『思想』(2005年12月号、岩波書店)「特集:戦後60年」のなかでは、ウエズリー・ササキ・ウエムラ著「遺産を移植する――戦後日本のサークル運動の影響」、水溜真由美著「森崎和江と『サークル村』」の2つの論文が掲載されています。
 さらには、雑誌『未来』(未来社)では、昨年から今年3月号までの7回にわたって、道場親信著「倉庫の精神史――未来社在庫僅少本で読む〈戦後〉」と題する論考が掲載され、上野英信などをめぐってサークル村のことが取り上げられています。

 サークル村についてはわずかしか言及されていないものの、冨山一郎氏「接続せよ!研究機械:研究アクティヴィズムのために」(『インパクション』第153号、2006年、本体1,200円)のなかのつぎの言葉は印象的で触発をうけました。
「運動の形態を考えることは、終ったとされる過去の出来事にもう一度別の意味を吹き込み、まだ終っていない運動として今に繋げていくことなのだ」。
 こんにちのこの状況において、あらたな〈サークル〉をどう構想し、実験し、つなげていくかは、きわめて重要な課題だと思います。

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