美馬達哉『〈病〉のスペクタクル――生権力の政治学』

 美馬達哉『〈病〉のスペクタクル――生権力の政治学』(人文書院、本体2,400円)が刊行されました。

 オビの文章――「〈生〉を貫き強力に作動する政治力学、恐怖と予防を上昇させ、ネオリベラリズムとも共鳴するその力の本質とは何か。医学生物学と政治社会学を横断する、気鋭による清新な分析の誕生。」

 目 次(以下、章題のみ抜粋)
I 〈感染〉の政治学
 第1章 アウトブレイクの社会的効用――SARS
 第2章 防疫線上の政治――鳥インフルエンザ
 第3章 グローバルエイズの政治経済学

II 〈生〉のディスクール
 第4章 〈生〉のテクノスケープ――ES細胞をつらぬく権力
 第5章 「脳死」の神話学
 第6章 病者の光学――視覚化される脳

III 〈恐怖〉のイデオロギー
 第7章 がん恐怖症
 第8章 ストレスの政治学

あとがきにかえて アウシュヴィッツの「回教徒」


 これはすばらしい本です。ぜひお読みください!
 「医療を対象とする人文・社会科学的なアプローチ」などと、平板化することのできない本です。「健康と病を語る上での支配的言説である医学=生物学的言説への抵抗あるいは裏切りの可能性をさぐる試み」であり、したがって、「『医学・医療』という学問分野が確固たる研究対象として存在する」という自明性を問うと同時に、「アプローチする方法論としての人文・社会科学的な学問分野(社会学、歴史学、政治学、人類学、など)が存在するという自明性」をも問うています。

 と言っても、文章は読みやすく、議論もきわめてうまく整理されていますので(ほんとに「うまい」と思います)、玉石混淆の「新書」から闇雲に何冊かを忍耐しながら読むよりも、この本をずっとお勧めします。いくつもの発見と動揺がある一冊です。

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