個人の重み…

 ずいぶんとナイーブな表題をつけたものですが、さいきん読んだ本のなかから印象にのこった2つをご案内します。いずれも、刊行されてから、けっこう日がたっていますので、ご存知の方のほうが多いでしょう。

パワーズ

リチャード・パワーズ『囚人のジレンマ』(みすず書房、2007年5月発行)

 「訳者あとがき」にも引用されている文章を本文から抜粋します。

「集団の意志の切れぎれの開花、協同することの利点、それらが軒並み衰退し、崩壊する。政体が有権者を乗っ取る。〈防衛する(ディフェンス)〉は他動詞となる。恐怖心が悪夢的な非常時について警告し、それによってまさにそうした非常時をつくり出す。誰もが相手に対して、自分にやられたくないことをやられる前にやる。」(本書372頁より)

「われわれはときに、自分の意志で行動するよう他人にけしかけてもらう必要がある」(178頁など、または75-78頁)という逆説の「なぞなぞ」から、物語は歴史のただなかへと展開してゆきます。


中井久夫


中井久夫『こんなとき私はどうしてきたか』(医学書院、2007年5月発行)

 精神科病院での講義録がもとになっています。やわらかな語り口ですので、すぐに読みとおすことができます。でも、ひとつひとつの言葉にたくされた経験の重みが、再読をうながすと思います。
 本書にかんしては、毎日新聞に書評が載っております。なんども読みかえしたくなる、そんな本だと思います。

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